多様化する働き方とその実際
「会社に縛られず、自分の時間と力で生きていく」——そんな働き方に関心を寄せる人が、ここ数年で急速に増えてきました。
いわゆる“フリーランス”と呼ばれる働き方は、もはや特別なものではなくなりつつあります。副業や兼業を含めると、現在日本にはおよそ1000万人ものフリーランスが存在し、労働人口の約6分の1を占めているとも言われています。
では、フリーランスとは一体何者なのか。その実態と、働く上でのメリット・デメリットを整理してみましょう。
フリーランスとは何か
厳密には、法的に明確な定義はまだ存在しません。
一般社団法人フリーランス協会によれば、フリーランスとは「特定の企業や団体に専属せず、独立した形で自身のスキルや知識を提供し、報酬を得る人々」を指します。
この働き方は大きく次の2つに分類されます。
独立系フリーランス
雇用関係を持たず、完全に自立した形で働く人々。
- 法人経営者:実態は個人事業だが、法人格を取得しているケース
- 個人事業主:税務署に開業届を提出している人
- すきまワーカー:学生や主婦、定年退職者など、開業届は未提出だが隙間時間に働く人々
副業系フリーランス
本業を持ちながら、並行してフリーの仕事を行う人々。
- 正社員として働きながら起業・副業を行う人
- アルバイトや派遣と並行して個人で活動する人などが該当します。
フリーランスの代表的な職種
フリーランスの働き方は業種を問わず広がりを見せています。中でも多いのは次の3ジャンルです。
1. クリエイティブ系
デザイナー、ライター、動画編集者など。エンタメ業界を中心に外部委託が一般的な分野です。クラウドソーシングの普及により、個人との直接契約が増加中。
2. ビジネス系
コンサルタント、マーケター、会計士など、専門性を生かして企業と取引を行うC to B型のビジネス。開業コストが低く、近年急成長。
3. 職人・生活系
ネイリスト、料理教室講師、ハンドメイド作家など。生活に密着し、個人と個人が直接やり取りするC to C型が中心。「サロネーゼ」「プチ起業」という言葉も聞かれます。
仕事の見つけ方
フリーランスは、自ら仕事を探す必要があります。主な手段は以下のとおりです。
- 人脈・紹介
過去の取引先や知人のつながりからの依頼。 - 広告・SNS
自身の活動を発信し、仕事を呼び込む方法。 - クラウドソーシング
「クラウドワークス」「ランサーズ」などを利用。手数料が20%前後かかることが多いものの、手軽さが魅力です。 - エージェントサービス
高単価の案件が多く、継続的な案件獲得に強みがあります。
フリーランスのメリット
- 時間の自由
働く時間を自分で決められ、ライフスタイルに柔軟に対応可能。 - 通勤不要
自宅やカフェで働く人も多く、満員電車とは無縁の生活に。 - 働いた分だけ収入に
成果主義のため、やりがいと報酬が直結します。 - 人間関係のストレス軽減
煩わしい人間関係から解放され、精神的にも自由に。 - 定年がない
スキルと健康が続く限り、何歳でも現役で働けます。
フリーランスのデメリット
- 収入の不安定さ
案件の波に左右され、安定した収入が得づらい。 - 確定申告の手間
経費の管理や納税を自分で行う必要があります。 - モチベーションの維持が課題
誰も見ていない環境で、自らを律する力が求められます。 - 社会的信用が低くなりがち
住宅ローンやクレジット審査に不利となることも。 - 社会保障が薄い
雇用保険・労災などの恩恵がなく、将来への備えは自助努力が基本です。
まとめ
フリーランスとは、自分の力で生き方をデザインする働き方です。
自由である分、自己管理と責任も求められます。会社員とは異なるリスクもありますが、「自分の意志で働く」という実感を得たい人にとっては、満足度の高い選択肢となるでしょう。
まずは副業からでも構いません。興味があるなら、小さく始めてみるのも一つの手です。