新卒初任給30万の裏で、見えない大量リストラが進んでいる
「人手不足です」
「優秀な若者が採れません」
「だから新卒の初任給を30万円にします」
確かにそれは合理的かもしれない。
優秀な人材を確保するためには、それなりの投資が必要だ。
でも、その陰で行われている大量リストラは、どう説明するつもりなのか?
日産:2万人
パナソニック:1万人
資生堂:1500人
オムロン:1000人
シャープ:500人
この数字の中には、氷河期世代の人生そのものが含まれている。
「自己責任」の名のもとに
僕たちは、就職活動の時点で出鼻をくじかれた。
バブルが崩壊し、企業が採用を絞りに絞った90年代後半〜2000年代初頭。
「新卒カード」がほぼ無意味だった世代。
まともな就職ができなかったことを、
大人たちは「努力が足りない」「準備不足」と断じた。
フリーター、派遣、契約社員…。
結婚もできず、家も持てず、転職すれば「職歴が安定していない」と見なされる。
自己責任。ずっと、そう言われてきた。
それでも働いてきた。家族を支え、地域を支え、
「いずれ報われる」と信じて。
そして今、企業は何をしているか?
・リストラ
・早期退職募集
・定年延長を嫌って役職定年を増やす
・高齢社員は「コスト」と呼ぶ
そうして空いた人件費で、新卒に年収400万を提示する。
別に若者が悪いわけじゃない。
けれどこの構図が、企業の「論理」として許されていいのだろうか。
現場を支えてきた中堅を切り捨て、企業がどう持続可能だと言えるのか?
若者にとっても、年長者にとっても、
この歪んだバランスは、いずれツケを回すことになる。
士気は沈み、組織は壊れる
企業は「即戦力が足りない」と嘆く。
だが、それは「育てる人材」を切り捨てた結果ではないか。
若者だけに希望を与え、40代以上には“出口戦略”しか残さない職場に、一体どんな未来があるというのか。
現場の声がかき消されていく。
「がんばっても報われない」という空気が蔓延する。
会社に忠誠を誓う時代は、もう終わったのかもしれない。
だが、信頼まで切り捨てたら、組織は本当に壊れてしまう。
今こそ再分配という発想を
僕は今、教育に携わっている。だからこそ言いたい。
若者に投資するのは当然だ。でもそれと同じくらい中堅世代を守る投資が必要だ。
人手不足というのなら、氷河期世代をリカバリーすべきではないか?
彼らは社会の矛盾に耐え、家族を背負いながら生き延びてきた。この国の「裏インフラ」だ。
なのに、なぜ今さら不要扱いなのか。
なぜ、企業の広報戦略に「希望」と「絶望」が同居しているのか。
最後に
この国は支え合う社会を本気で目指しているのか?
それとも使い捨ての論理で回し続けるのか?
私たちは、いまだに「声を奪われている世代」だ。
だが、沈黙していればすべてが許される時代は、もう終わっている。このまま黙って見過ごすわけにはいかない。
氷河期世代をなかったことにするな!!!