氷河期世代は、なぜ「依存せず生きる道」を選ぶのか

起業や俳優に氷河期世代が多い理由を考える

バブル崩壊後の日本社会で、“取り残された世代”とされる「就職氷河期世代」。
1970年代後半〜80年代前半に生まれたこの世代は、新卒での正社員登用が極めて困難だったことで知られています。

しかし今、彼らは「会社に依存しない生き方」を選び、独立・起業・芸能といった道を歩む人が目立っています。
これは偶然でしょうか? それとも、何か構造的な背景があるのでしょうか?

「普通に就職する」という道が、最初から閉ざされていた

いまの若い世代には想像しにくいかもしれませんが、1990年代半ば〜2000年代初頭、いわゆる「就職氷河期」は、本当に就職できない時代でした。
• 面接すら受けさせてもらえない
• 書類すら通らない
• 「新卒しか採らない」と言われるのに、卒業した瞬間に対象外
• 「やる気」や「ポテンシャル」は全く評価されない

大学や専門学校を出ても、正社員になれずアルバイトや派遣として社会に出ざるを得なかった人が非常に多くいました。
つまり、この世代にとって「会社に就職して人生を安定させる」という道は、“最初から存在していなかった”のです。

「依存できない」から「自力で立つ」へ

企業にすがれなかったからこそ、氷河期世代の多くは考えました。

「じゃあ、自分でやるしかない」と。

その思考はやがて、「自分の裁量で働く」「自分の看板で勝負する」という方向へとつながっていきます。
• フリーランス
• 個人事業主
• 小規模な起業
• 俳優・表現者・クリエイター
• 地方移住しての自営業やコミュニティ運営

そういった道に進む人が多いのは、偶然ではありません。

彼らは「安定を得られなかった」からこそ、「安定に頼らない人生」を選んだのです。

芸能の世界にも、氷河期世代の精神が生きている

俳優やクリエイターの世界でも、40代前後(=氷河期世代)の人材が多く活躍しています。
決してテレビに出続けているわけではないけれど、舞台・映像・自主制作・ナレーション・CMなど、幅広い現場で地道に活動している。

それはなぜか?

彼らは「評価されなくても、やる」。
「売れなくても、続ける」。
つまり、“選ばれない経験”に慣れているからこそ、「誰かに選ばれるのを待たず、自分で表現し続ける」というスタンスを自然に取れるのです。

これは、氷河期世代特有の“骨太さ”とも言えます。

今こそ、氷河期世代の価値を見直すとき

令和の社会は、かつての「安定」がどんどん崩れています。
終身雇用も年功序列もすでに過去の話。副業や転職、オンラインでの活動が当たり前になりつつあります。

そう考えると、「氷河期世代のように生きること」が、むしろ新しいスタンダードなのかもしれません。

不安定な時代に適応し、自分で考え、動き、稼ぐ。
誰にも依存せず、でも社会と切れずに関わっていく。

それを、20年以上前から模索し続けてきたのが、この世代なのです。

おわりに

「氷河期世代=かわいそう」ではありません。
むしろ、「システムに見捨てられても、自分の足で立ち続けた強さ」がある。

今、自分で仕事を作ろうとしている若者や、キャリアの迷子になっている人たちにも、彼らの生き方は大きなヒントになるはずです。

安定は幻想。依存しないことが、最大の自由。
氷河期世代は、それを体現している。

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