メジャーリーグ(MLB)は、世界最高峰の野球リーグ。豪快なホームラン、満員のスタジアム、そして何百億円という契約金──。
しかしその華やかさの裏に、もうひとつの野球人生が存在することは、あまり語られません。
それがマイナーリーガーの暮らし。
同じ「プロ野球選手」でも、その待遇には信じられないほどの格差があります。
飛行機とバス──移動から違う世界
メジャーリーガーは、試合が終わればチャーター機で次の都市へ移動。
一方、マイナーリーガーたちはどうかというと──バスで10時間以上の移動が日常です。
• メジャー → プライベートジェット、4つ星ホテル以上
• マイナー → 夜行バス、安宿、場合によっては相部屋のアパート
「マイナーから呼ばれてメジャーに昇格したとき、飛行機に乗れることに一番感動した」
そんな選手の声すらあるのです。
ステーキとピーナッツパン──食事にも格差がある
メジャーのクラブハウスには、専属のシェフが在中。ビュッフェスタイルで、肉・魚・野菜・プロテインドリンクなどが常備されています。
一方、マイナーリーグの選手は――
「朝は自分で買ったバナナとピーナッツバターを塗ったパン、昼も夜も冷めたサンドイッチだけだった」
こんな話も珍しくありません。
2021年には「ゴミのような食事しか支給されない」という選手の内部告発が米国内で話題になり、改善の声がようやく上がったほどです。
年俸は「プロ」と呼べるか?
メジャーリーガーの最低年俸は、2024年時点で約74万ドル(約1億1,000万円)。一方、マイナーの平均はというと──
階層
年俸(目安)
月給換算
AAA(3A)
約30,000〜35,000ドル
約40万〜50万円
AA(2A)
約15,000〜18,000ドル
約20万〜25万円
A級以下
約5,000〜12,000ドル
約7万〜15万円
しかもこの金額、シーズン中のみの支給(年6か月程度)です。
アジアのプロ野球の方が“豊か”なことも
アメリカのマイナー暮らしに苦しむ選手たちにとって、韓国プロ野球(KBO)、日本のNPB、台湾のCPBLなどは魅力的な選択肢です。
リーグ
外国人枠選手の年俸(中央値)
NPB(日本)
50万~300万ドル(約7,500万〜4.5億円)
KBO(韓国)
30万~100万ドル
CPBL(台湾)
10万~50万ドル
マイナーリーガーがNPBに来れば、いきなり年収10倍以上も珍しくありません。
さらに、住居費・渡航費・食費サポートもあり、「生活の質」は圧倒的にアジアが上という評価も多くあります。
メジャーは夢、でも現実は…
アメリカで野球をする若者にとって、メジャーはあくまで「夢」であり、マイナーはその通過点。
しかし、その通過点での経済的・精神的ストレスはあまりにも大きいのが実情です。
一流選手でも、ケガや不調で昇格できなければ、マイナーに数年とどまり、そのままキャリアを終えることも。
「プロ野球選手」と聞くと輝かしいイメージがありますが、実際には、
• 移動はバス、食事は簡素
• 給料はアルバイト以下
• 自腹で用具・寮費・遠征費を補填
という現実を生きている選手が、何百人と存在するのです。
最後に
メジャーリーグの輝きの裏には、マイナーという“過酷な現場”があります。
それでも野球を続ける彼らにとって、アジアは“プロとしての誇り”を取り戻せる舞台でもあります。
私たちが野球を観るとき、その舞台裏にある格差と努力にも、少しだけ目を向けてみてはいかがでしょうか。