「国会議員が多すぎる。」
「議員定数を減らせば税金の節約になる。」
こうした意見は、選挙のたびに聞かれる。
一見すると、もっともな主張に思える。
しかし、本当に議員を減らすことが、日本の政治を良くすることにつながるのだろうか。
私は、一つ気になる点がある。
それは、議員定数を減らすほど、世襲政治が強くなる可能性があるということだ。
政治家になるには、お金だけではなく、知名度や組織、後援会、地盤が必要になる。
新人候補にとって、それらを一から築くことは容易ではない。
一方で、世襲議員は、親や親族から地盤や後援会、人脈を引き継げる場合がある。
もちろん、世襲であること自体が能力の有無を決めるわけではない。優れた世襲議員もいれば、非世襲で活躍する議員もいる。
しかし、選挙で有利な条件を持ちやすいという点は、多くの政治学者も指摘している。
ここで考えたいのは、議員定数を減らした場合だ。
議席が少なくなれば、一つの議席を巡る競争はさらに激しくなる。
競争が激しくなれば、資金力や知名度、組織力を持つ候補が有利になりやすい。
その結果、新人や無所属、若い世代が挑戦しにくくなり、既存の有力政治家や世襲議員に有利な構造が強まる可能性がある。
つまり、
「議員を減らせば政治が良くなる」
とは、必ずしも言えないのである。
もちろん、議員数を維持すべきだと言いたいわけではない。
重要なのは、「何人いるか」よりも、「どのような人が政治に参加できるか」である。
多様な職業経験を持つ人、女性、若者、地方出身者など、さまざまな背景を持つ人が政治に参加できる制度づくりこそ、民主主義には必要ではないだろうか。
議員定数の議論は、人数だけで終わらせてはいけない。
その先にある、「誰が政治に参加できる社会なのか」という視点こそ、私たちが考えるべき本当のテーマなのだと思う。