「保護者同士がトラブルになった。塾長として、どちらを注意すればいいのだろう。」
学習塾を経営していると、勉強だけでは済まない問題に直面することがあります。
子ども同士のトラブルが保護者同士の感情的な対立へ発展したり、LINEでのやり取りが原因で関係が悪化したりすることも珍しくありません。
では、そのとき塾長は「叱る人」になるべきなのでしょうか。
私は少し違うと思います。
塾の役割は、裁判官でも警察でもありません。
どちらが悪いかを決めることよりも、「子どもたちが安心して学べる環境を守ること」が最優先です。
もちろん、暴言や誹謗中傷、他の生徒の学習を妨げる行為があれば、毅然と対応する必要があります。
しかし、それは相手を叱るためではなく、教室という学びの場を守るためです。
一方で、家庭の価値観や子育て方針にまで踏み込むことは、塾の役割ではありません。
保護者同士の人間関係を完全に解決することはできませんし、すべきでもありません。
大切なのは、事実を丁寧に確認し、感情ではなくルールに基づいて対応することです。
「誰が悪いか」ではなく、「これから同じことを起こさないためにはどうするか」。
その視点を持つことが、教育者には求められていると思います。
私は塾を運営する中で、「勉強ができる子」を育てたいだけではありません。
相手を尊重し、ルールを守り、自分の感情をコントロールできる人を育てたいと思っています。
保護者も子どもも、社会の一員です。
子どもは大人の姿を見ています。
だからこそ、私たち大人が感情ではなく理性で行動する姿を見せることが、最高の教育になるのではないでしょうか。