私は上野動物園へ写真を撮りに行くとき、必ず最初に立ち寄る場所があります。
それは、動物慰霊碑です。
カメラを構える前に、静かに手を合わせます。
「安らかに眠ってください。」
そんな気持ちで、その場を後にします。
この慰霊碑には、長年動物園で暮らし、その生涯を終えた動物たちへの感謝が込められています。
そして、戦争の歴史も刻まれています。
1943年、戦況が悪化する中、「空襲で猛獣が逃げ出す危険がある」という理由から、上野動物園ではゾウやライオン、ヒョウなど多くの動物が殺処分されました。
毒を混ぜた餌を食べなかったゾウは、餌をもらえると思い、芸をして飼育員を見つめ続けたと伝えられています。
飼育員も動物を愛していました。
それでも命令には逆らえませんでした。
戦争は、人間だけでなく、何の罪もない動物の命まで奪います。
私はシャッターを切るたびに、「命を記録している」のだと思うようにしています。
一枚の写真は、その瞬間しか残せません。
だからこそ、一枚一枚を大切に撮りたい。
教育も同じではないでしょうか。
子どもたちと過ごせる時間は限られています。
何気ない一言が、その子の人生を支えることもあれば、傷つけてしまうこともあります。
命は、動物も人も同じように尊いものです。
写真を撮る技術よりも、その命に敬意を払う心を忘れない。
これからも上野動物園を訪れるたび、私は最初に動物慰霊碑へ向かいます。
それは、写真を撮る者として、そして教育に携わる者として、命への感謝を忘れないための、小さな約束です。