頑張れる子ほど、助けを求められないことがある
子どもは、いつも言葉で「苦しい」と伝えられるわけではありません。
特に、真面目な子や周囲から「良い子」と言われている子ほど、自分の苦しさを隠してしまうことがあります。
「親を悲しませたくない」
「期待を裏切りたくない」
「弱いところを見せてはいけない」
そんな思いから、限界まで頑張ってしまうのです。
教育虐待の難しさは、外から見ると「努力している子」に見えることです。
毎日勉強している。
成績も悪くない。
学校でも問題を起こしていない。
しかし、その心の中では、
「失敗したら怒られるかもしれない」
「期待に応えられなかったら嫌われるかもしれない」
という不安を抱えている場合があります。
子どものSOSは、必ずしも「助けて」という言葉で表れるわけではありません。
例えば、
・以前好きだったことに興味を示さなくなる
・急にイライラすることが増える
・朝起きられなくなる
・体調不良を頻繁に訴える
・完璧にできないことを極端に嫌がる
・「どうせ無理」「自分なんて」という言葉が増える
こうした変化は、子どもの心からのサインかもしれません。
もちろん、これらすべてが教育虐待によるものとは限りません。
しかし、大切なのは「怠けている」「気合いが足りない」と簡単に決めつけないことです。
子どもが苦しんでいる時、必要なのはさらなる努力を求めることではなく、安心して話せる環境です。
親ができる大切なことは、
「なぜできないの?」
と問い詰めることよりも、
「最近、少し疲れていない?」
「何か困っていることはない?」
と、子どもの気持ちに耳を傾けることです。
また、親自身が「結果」から少し離れることも重要です。
テストの点数。
順位。
志望校。
もちろん大切な要素ではあります。
しかし、それ以上に大切なのは、その結果に向き合う子どもの心です。
子どもは、親の期待を満たすためだけに存在しているわけではありません。
失敗してもいい。
遠回りしてもいい。
自分で考えて選んでもいい。
そう思える環境が、子どもの本当の成長につながります。
教育とは、子どもを追い立てることではなく、困難な時に戻ってこられる場所を作ることなのかもしれません。
親という存在は、子どもの人生を代わりに歩く人ではありません。
転んだ時に手を差し伸べる人。
迷った時に一緒に考える人。
そして、どんな結果でも「あなたの味方だ」と伝える人です。
子どものSOSを見逃さないために必要なのは、特別な教育法ではありません。
日々の小さな変化を見ること。
そして、子どもが「失敗しても愛されている」と感じられる関係を作ること。
それが、教育虐待を防ぐ大きな一歩になるのではないでしょうか。
次回は、
第5回「親の成功体験が子どもを苦しめる時。『自分の時代』を押しつけない教育」
について考えていきます。